なくしもの

手にしているときは近すぎて大きさは分からず

当然のようにそこにあるから重さは感じない

離れてしまって初めて遠くからその大きさを知って

そこにあった重さは感じることはできない

取り戻そうともがくけれど、

似ているものは手にできても同じものは手にできない

大抵のことはなくしてから気づいて、

取り戻したくても気づいてしまった大きさと重さには立ち向かえない

大切なものはこの瞬間にしかないのに、

過去を見つめて虚無を知る

ここに残るのは哀しみ